【WAM助成】研修報告

今日は、「半径1.5kmで脱ワンオペ育児プロジェクト」の一環で、しんぐるまざーずふぉーらむ関西・神戸ウェストの安木麻貴さんに研修を受けました。今日は離婚に伴い利用できる制度についてお話いただきました。その中で制度を利用できないけれど、大変な状態にあるプレ・シングルマザー(離婚はしていないが別居など離婚に近い状態にある女性)のことや、制度はあるけれど利用しにくい状況などについて学びました。

また、春にa littleが独自でインターネットで行ったコロナ禍での生活の実態調査「西宮市生活アンケート」の回答の中からひとり親支援と思われる人の結果を抽出し、紹介しました。

【質疑応答】

Q離婚前に知っておいた方がよい制度はありますか?

安木さん)事前に公のセンター(相談機関)の存在を知っていたので、その存在があったことが大きかった。私自身は、フル装備で制度を使い切ったと思います。シングルが利用できるキャリアアップのセミナーはあるけれど、利用する人は少ない。私は自分で「これしかない」と感じて就職したが、(セミナーを利用していれば)、いろんな選択肢の中から選べたかもしれない。受けたかったです。

Q縦割り・窓口・シングルの人がへこまないでいった方がいいよ、とおっしゃいましたね。

安木さん)私は窓口で泣いたこともある。へこむこともあります。(相談に行くときには、)窓口の人が全部知っているわけじゃないと知っておくこと。母子自立支援員は常駐であるが、市役所で職員は移動があるため知っていることは100%じゃない。調べた上で、他市はどうですか?他市は受けられるのにと思ったことがあった。制度をよく知り、それを武器にする。諦めない。何回でもチャレンジする。


また、離婚前後に抱える悩みや問題についても、お聞きすることができました。

  • 制度が分からない
  • 子どもとの関係がうまくいかない
  • 元夫との関係が悪い・こわい
  • 子どもを面会させたくない
  • 経済的に困っている など

しんぐるまざーずふぉーらむに寄せられる相談は、単に制度で解決できることばかりではなく、行政が用意する「サポートブック」には載っていません。当事者が、離婚に至るまでの手続きを自分で行い、生活を作っていくために、頭の整理をして窓口に相談にいけるように、専門家でなくても、近くに少し話を聞いてくれる人がいるといいとのことです。

a littleの1.5kmの地域のサポートがそのような力になれたらよいと思いながら聞いていました。

研修の後半は、講師から挙げられた問い「どうしてひとり親家庭はこの制度にのれなのか」について参加者の考えをお聞きしました。

この問いに、はっきりとした答えがあるわけではありません。しかし、このように自分達が考えることや、それらの意見を交えることで、新しい考えや気づきがあるのではないかと思います。

意見の一部をご紹介します。

●窓口が1本化されていない。まずどこに行けばいいのか、迷うところ。幾たびに同じことを説明しないといけないのでは?

●たとえば「子育て」の相談は、この人というように決まっていれば、もっと楽に相談できると思う。(どんな質問にも)すべて寄り添ってくれる、請け負ってくれる人であって欲しい。

●システム的な役所の縦割り。当事者意識がない。伝わらない。日本人の自己責任論。シングルの方も持っている人が多い。だから、言えない。求められない。

●人権侵害が起きていると安木さんがおっしゃっていたが、私達は人権・権利に対する意識が高まっていない。教わってきていない。フィンランドのネウボラでは産前産後にケアを受ける権利があるということが時間をかけて国民全体に浸透している。私達は(制度を利用することを)当然の権利を思えないと感じる。

最後に安木さんから

「守ってくれるのは窓口と思いがちだけれど、自分が守る。身近なところ、近しいところがすごく大事。a littleさんのような輪が大事。こういうグループから考えていくことが次の一歩が進められるのではないかなと思う」とおっしゃっていただきました。

次回は9月26日(土)10時~12時zoomで開催いたします。テーマは、ひとり親家庭の中での親と子どもの関係や課題について取り上げます。「半径1.5kmで脱ワンオペ育児プロジェクト」に関わってくださる方をお待ちしています。参加希望の方はご連絡ください。(大和)

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